2008年12月20日(土)

19日に奈良美智、山口晃、加藤美佳などの現代日本の新世代アーティストの作品を集めた『ネオテニー・ジャパン』を見てきた。
大型の作品が多かったため、作品数自体は少なかったが、様々なジャンルで現在進行形で活躍しているアーティストの作品を間近に見ることができ、すばらしかった。
看板になっているのは加藤美佳の『パンジーズ』であるが、作品がでかく(235×187cm)年齢不詳の少女が圧倒的迫力で迫ってくる。サイズは大きいが、垂れている髪の毛などは一本一本緻密に描かれており、妙なリアル感があるので、作品の前に立つとどうにも落ち着きがなくなる。視線がこちらを向いていないのが、かえって気になってしまう。
おなじみの奈良美智の作品は全部で4点あったが、こちらはしっかりと睨みつけられてしまった。なにか大人の悪い面を見透かされるようだ。作品の中から『あんたみたくはならないよ』と言われているようだ。
山口晃の作品はハイテク武将とでも言う『五武人圖』が印象的だった。鎧兜姿の武士だが、クラシックなデザインの現代兵器で武装している姿が良い。
他にも源氏物語のような絵巻で現代の温泉宿?を表現した『今様遊楽圖』は、その下書きも同時に展示されており、書き込みの細かさを直接比較出来、興味深かった。
今回の展覧会は精神科医である高橋龍太郎氏の個人コレクションからのセレクトであるが、すばらしいラインナップだ。
古典的作品の技法を用いながらも斬新な作品が多く、日本新世代のトップアーティストの作品には非常に力強いものを感じた。
大変すばらしい展覧会で、おそらく全国を巡回していると思うが、それでも直接足を運べる人は少ないと思う。
いつも思うのだがネットでこれらの作品を公開する事は出来ないのだろうか?
会場に出向くことができても、時間の都合や人の込み具合などでじっくり作品を鑑賞する事はなかなか出来ないのが実情だ。
以前、上野でアールヌーボーの宝飾展を見に行った時は、作品の前からオバチャンが動かず、何点か見ることができなかった苦い思いがある。
著作権の問題がある事は十分分かっているが、このような芸術作品ほどオープンにしてもらいたいものだ。
ネオテニー・ジャパン──高橋コレクション
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