絵画と写真の交差@札幌芸術の森美術館
2009年4月27日(月)

同時代の絵画と写真を比べることができ、お互いの変化を見ることができた企画展。
札幌芸術の森美術館に『絵画と写真の交差、印象派誕生の軌跡』を見に行った。
19世紀の絵画と、生まれたばかりの写真技術がお互いに影響し合い、それぞれ別な道を目指していく様子が良く分かる企画展だった。
驚いたのは、初期の写真のポートレイトの芸術性の高さだ。
写真技術は1839年に発明されたと解説にあったが、それからわずか20年後の1860年のアブラハム・リンカーンのポートレイトは、すでにこのジャンルが確立されたかのような完成度の高さを感じた。絵画でも肖像画は相当古くからあるので、カメラマンにとっても、アングルや構図はすでに確立されていて応用しやすかったのかもしれない。
それにしてもその後のヴィクトル・ユゴーやG.アントニオ・ロッシーニなどのポートレイトはすばらしい作品と感じた。
それと比べ、初期の風景写真はまだまだ手探りの状態が見える。
絵画の風景画は、作家がスケッチを元にアトリエで再構築し作品に仕上げると解説にあったが、写真の場合はズバリそのものを捉えてしまうからだろうか。絵画の風景画の方がはるかに美しく見えてしまう。
もちろん初期の写真はモノトーンで、ポートレイトではモノクロでも作品として成立するが、風景写真にとって絵画と同じ方向性を追い求めると、この技術的ギャップは相当なハンディになったと想像される。
絵画と写真の関係という面から見ると、初期の頃は、画家の側は、写真をスケッチ代わりや正確な下書きなどに積極的に利用し、作品制作に活用していったのに比べ、写真家の側は、写真独自の表現を追い求めたのではなく、絵画の表現をなんとか真似ようとしたように見える。
画家の側は写真の誕生により、対象物を正確に記録出来るようになると、自らの作品により芸術性を求め、進化したように感ずる。これは印象派誕生の原動力にもなったのではないかと思う。
写真家の側はそれとは逆に絵画の芸術性を必死に模倣しようとしたために、写真ならではの芸術性の追求に出遅れてしまった感がある。
特になんでもかんでもソフトフォーカスにしてしまった20世紀初期の作品にそれを強く感じた。
写真が絵画との関係を振り切り、写真でしか表現出来ない作品を生み出し始めたのは、写真技術の進歩もあるが結構遅かったのではないかと感じた。
今回の企画展は、同時代の絵画と写真を比較することができ、それぞれの手法の変化とお互いがどのような影響を受けたのかが良くわかる展覧会だった。
ある特定のジャンルや、作家の作品展ももちろん良いが、このような別メディアを比較する企画展もとても楽しめる。私はただのアート好きにしかすぎないが、非常に楽しめた。そして久しぶりに図録を買ってしまった。






