NKHスペシャル北極大変動を見て
2008年5月30日(金)
NHKスペシャルの北極大変動が25日、26日と放送された。
3月24日のエントリーにも書いたが、現実の北極の様子が生々しく描かれていた。
第一集は温暖化により生態系が脅かされているホッキョクグマの危機的状況を伝えており、第二集は北極海の氷が溶ける事により開発が進む天然ガスや石油について伝えている。
これらの番組を見ると、すでにアラスカ州のホッキョクグマはアメリカで絶滅危惧種に指定されたが、このままだと間違いなく絶滅してしまう気がする。
北極海の海底地下資源についてはもうあそこまで開発が進んでいたのかと驚かされる。逆に当面のエネルギー資源不足は何とかなりそうであるが、開発が本格的に進みエネルギー消費が増えると確実に北極海の氷は溶けてなくなるだろう。
ホッキョクグマの運命は風前の灯
第一集で放送されたホッキョクグマであるが、彼らの種としての寿命は今や風前の灯である。
生息数自体は最悪の時期の1960年の12,000頭から増えて、現在では倍の数になっているが(あくまで推定値)スバルバル諸島(スヴァールバル諸島)のホッキョクグマは、氷がないために餌となるワモンアザラシが少なくなり、せっかく冬を越したのに夏の間に餓死してしまう事が多くなってきている。
さらに温暖化の影響で、ハイイログマの生息域が北に広がりホッキョクグマとのハイブリッド(交配種)も現れている。ホッキョクグマが生息するためには越冬するための雪山と、夏の間餌となるワモンアザラシが生きていくためのある程度厚みのある氷が必須なのだ。しかし北極海には陸地が無いので、温暖化が進んでも現在の生息地より北に移動する事は出来ない。
今後数世紀したら生きるために北極海の氷を必要としないハイブリッドに置き換わってしまうかもしれない。
すでに本格的開発が始まった北極海の地下資源
第二集では北極海の地下資源について放送されていたが、すでにノルウェーの液化天然ガス(LNG)プラントが稼働しており、そこで生産された天然ガスが日本にすでに輸入されているのだ。
このプラントの稼働のために必要な最初の燃料となる液化天然ガス(LNG)を運搬したのは日本で作られたLNG船だ。さらに新たな天然ガス田を探すための掘削リグも日本製と紹介していた。ノルウェーの天然ガス開発には日本も深く関係を持っており、恩恵を受けている現実がある。
他にもロシアが海底資源開発に乗り出している。ロシアは北極海でも原油を運搬できる世界初の砕氷タンカーを韓国のサムスングループのサムスン重工業に発注している。価格は通常のタンカーの3倍もするが、サムスン重工業では2011年までに23隻の受注を狙っているというから驚きだ。
今回の番組ではアメリカについては何も紹介されていないのがかえって不気味だ。今のところ北極海に権益を持っているのはアメリカ、カナダ、ノルウェー、ロシア、デンマークなどの少数の国々しかないからかだ。
温暖化が加速されるかも

北極圏のボーフォート海をジャケット写真にしたPatrick O'Hearnの最新CD:Glaciation
今世紀中にこんな風景は無くなるかもしれない。
北極圏の急速な資源開発はそのまま地球温暖化を加速させる要因になる。
原因が二酸化炭素にあるかどうかはこの際棚上げにするとしても、エネルギー供給の心配が無くなればその消費量は間違いなく増加するだろう。結果としてますます北極圏の気温が上昇し氷が溶けて開発が進むという循環が生まれる。
北極海の氷は夏の間完全に無くなり、ホッキョクグマは動物園でしか見れなくなるかもしれない。
今現在でも北極海の氷に関しては数十年前の状態に戻るためのターニングポイントを過ぎてしまっているのかもしれないのだ。





