2010年3月27日(土)
各種報道によると、天洋食品の元臨時工を容疑者として中国当局が身柄を拘束したようだ。
もう捜査は終了してしまったのかと思っていたが、中国当局は地道な捜査を続けていたらしい。
嬉しいことだが、日中の捜査協力の難しさを改めて感じさせた結末となった。
どうやら中国当局は回収したはずの天洋食品の餃子が国内で横流しされ、それを食べた自国民が中毒症状を起こした事をきっかけに本格的に捜査を行ったようだ。
さすがに国内で回収した餃子からメタミドホスが検出されれば、どう考えても日本で混入するはずが無く、中国国内の問題として対応せざるを得なかったという事だろう。
だが、中国国内で中毒が出たのは2008年の6月頃とされているので、1年以上前だ。日本側にはその後の捜査状況は何も伝えられなかったようで、日中の捜査協力は結果的に事件解決には何の影響も与えなかったわけで、いかに中国側が体面だけのための捜査協力だったかよくわかる。
中国の事であるので、容疑者には相当な処分がされると思うが、問題は犯行の動機だ。
拘束された呂月庭容疑者は犯行の動機として、天洋食品の待遇の悪さを上げているが、日本向けの食品工場は、納品先の日本メーカーから品質、価格に関して相当な要求を受けていたと想像される。
その結果、過剰な高品質をどこよりも安く供給しなければいけない工場では、コストダウンのしわ寄せが従業員に集まるのはどの国でも同じで、ある意味、今回の事件は日本の消費者の過大な要求(高品質で安い)がもたらした結果とも言える。
一歩間違えば死者が出てもおかしくなかった事件だが、犯行の動機を考えるとその責任が100%容疑者のみに有るとは言えないのではないかと思う。
日本国内で両立できなかった価格と品質を、新興国や途上国に求め続ける限り、同じような事件は今後も起きる可能性がある。
自国内でコスト面で折り合いがつかないからと言って、安易に海外に頼るやり方は考え直さなければならないと思う。
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